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2016年4月21日、30名のイントレプレナーが自分の靴を脱いだ

その夜、皆は靴を脱ぐことから始まった。それは「自分の会社か肩書きを一旦どこかに置いて、心から共有を始めよう」という物語の始まりでもあった。

 

2016年4月21日木曜夜、株式会社Hub Tokyo主催、株式会社パソナ共催のイントレプレナーのためのプログラム、「イントレ・リーグ Vol.1」を開催した。そもそも、このプログラムは、株式会社パソナの加藤さんと、Impact HUB Tokyoの山口が、昨年2015年の秋にサンフランシスコに一緒に行ったことから端を発する。

 

それは、Impact Hub San Franciscoが主催した「社会的インパクト投資」をテーマにしたカンファレンス「SOCAP」に、日本から20名ほどが一緒に参加し、お互いにAir Bnbで宿を共にし、夜な夜ないろんな経験を打ち明けたことが原体験。

 

あの熱さを、もっと続けたい。日本でも続けよう。加藤さんと山口は企画を練り始めた。

 

もともと日本の大企業の社内起業家たちを応援したかった山口は、Impact HUB Tokyoのファシリテーション能力と起業家育成プログラムのノウハウを、社内起業家向けにも作れるのではないかと考え、「イントレ・リーグ」プログラムという社内起業家向けプログラムを設計し始めていた。加藤さんはそこに共感し、そこでImpact HUB Tokyoの「イントレ・リーグ」プログラムを、パソナグループの社屋で、パイロットで始めることとなった。

 

第2回は5月25日(水)に実施予定。すぐにお申し込みを!

https://hubtokyo-intreleague.doorkeeper.jp/events/44152


「イントレ・リーグ」プログラムの開発秘話はこちらに詳しい。パソナグループのイニシアティブ編集部に取材していただいている。

イントレプレナー(社内起業家)とは何か? その可能性と、壁を乗り越える方法 <前編>
イントレプレナー(社内起業家)とは何か? その可能性と、壁を乗り越える方法 <後編>

 

 

写真提供: 株式会社パソナグループ
写真提供: 株式会社パソナグループ

イントレプレナーのために設計された事業創造プログラム

イントレ・リーグImpact HUB Tokyoの山口と岩井が今回新しく設計した「イントレ・リーグ」プログラムは、「イントレプレナーが企業を超えて加速し合う」状況を作り出すことを目指す。

そのため、6ヶ月間、毎月一度のセッションを通じて、イントレプレナーたちが定期的に会い、コミュニティとして一体化し、互いに切磋琢磨できる環境を作っていく。

対象となるのは、現在、実際に企業に身を置きながら、自分のいる組織のリソースを活用してより大きなインパクトを出すこと、社会課題解決をしていくことを目指している人たちだ。

 

「シェアを通じて」加速する

個人の人たちは、このプログラムに参加し続けることで、誰かから教わるのではなく、参加している個人間でのナレッジや経験を共有し続ける。その「シェアを通じて」というのが味噌だ。そこから、お互いに360度フィードバックをしながら磨きあっていくという独特のプグラムなのだ。

Impact HUB Tokyoでは、過去3年間にわたって「Team360」という起業家育成を行ってきた。(詳しくはこちら)そのプログラムも「シェアを通じた切磋琢磨」が味噌。そのプログラム運営のノウハウを活かしながら、イントレプレナーが孤独に陥るのを防ぎ、効率的な事業創造をサポートする。

6ヶ月間、毎月テーマが設定され、それぞれのフィールドで戦うイントレプレナーたちに役立つコンテンツとネットワークを提供する。その中でのImpact HUB Tokyoの役割は、まさに「伴走」である。

 

すべてから吸収しようとする意識の高いイントレプレナーたち

第1回のセッションにお呼びしたのは、以下のお二人。

  • 立石 亮(たていし りょう)さん(三菱商事株式会社)
  • 渡辺 周(わたなべ しゅう)さん (日本電気株式会社/GRAグループ)

それぞれ違うフィールドでイントレプレナーとして活躍するお二人だが、二人には共通する点がいくつかある。

 

まず、個人の強烈な想いと、現在関わっている新規事業が、一本の線できちんとつながっていることだ。これができているイントラプレナーは本当に少ない。そして、その線のつながりがあるからこそ、周りを共感や想いで動かしている。

 

また、二人とも「大企業がやること」に重要性を見出している。大企業から社会にインパクトを生み出すような取り組みを、事業・ビジネスとして実現すること。起業するよりも難しいかもしれないのに、それを追及しながら、成果を出しているのだ。

 

そして、二人とも海外事例から学ぶ姿勢が強い。日本国内だけでなく海外での先進事例から学ぶことについても熱心で、それが私たちとの出会いを作ってくれていた。

 

この二人と私たちがつながったのは、これもまた、Impact Hub San Franciscoが主催した「社会的インパクト投資」をテーマにしたカンファレンス「SOCAP」から始まっている。

→立石さんのSOCAP参加後のインタビュー記事(http://hubtokyo.com/socap13-interview1-2/

 

二人とも、すべてから吸収しようとする意欲の強い方。それもそのはず、想いが事業の軸と一致しているので迷いがない。その強さが成功を引きつけていた。

 

船舶事業から、東北復興支援事業、東北の地で事業を立ち上げるまで。

写真提供: 株式会社パソナグループ
写真提供: 株式会社パソナグループ

立石さんは、現在、環境CSR推進部で、東北の復興支援に従事している。だが、普段は、福島県郡山市に家族と共に住み、現地で福島県産の果物を使ったワイナリー事業を立ち上げているというイントレプレナーだ。

 

東北復興支援の担当事業はいくつかあり、まずひとつには三菱商事復興支援財団としての被災地の学生支援奨学金や、被災地で活動するNPO法人への助成金の拠出をしている。もう一つには、産業復興・投融資の事業で、東北三県での起業家や中小企業への出資なども行い、日本国内でも「投融資を通じた社会貢献」という新たなかたちとして注目を浴びている。

 

だが、立石さんが一番最初に話し始めたのは、その事業のことではなくて、学生時代のことだった。当時はボート部で活動し、漠然と社会に貢献したいと思いながら教育関係のNPOでインターンをしていた。就職活動を周囲から促され、なんとなく就職活動をしていたという。

 

社会のために何ができるかという葛藤と、芽生え始めた自信

 

社会貢献をしたいという漠然とした想いを持ちながらも、最初は何ができるかがわからなかったという立石さんは、始めは船舶事業の担当に。自分自身の手触り感のある社会貢献をしたいという想いからくる毎日の葛藤は、当時注目されていたスティーブ・ジョブズのプレゼンテーション中の言葉「鏡の前で今日が一日最後の日だったらお前は何をやるか?」という言葉にも後押しされ、大きくなっていたという。

 

入社1年後の2011年、東日本大震災が発生する。

 

東日本大震災の悲惨な現状を目にした立石さんは、ちょうど当時シェアハウスをしていた友人が震災後すぐに被災地入りしたことに刺激を受け、震災1ヵ月後に被災地へボランティアをしに行く。そのボランティアを終えて東京への道中、誘った後輩に「もっと人を集めよう」と促したのがきっかけとなり、その後本当に人を集めNPO団体ができるまでになった。

 

ボランティア団体の運営と会社勤務を並行して行うというハードなスケジュールを送っていた立石さんだが、この両軸での活動を経て、だんだんと自信がついていったと言う。

 

今の上司に具体的な震災復興支援策を提案した

写真提供: 株式会社パソナグループ
写真提供: 株式会社パソナグループ

 

震災後、NPO団体の運営をしていた立石さんは、ふと振り返ってみると自分の会社(三菱商事)が「100億円を投じて震災復興支援をする」と宣言をしていたことに気がつき、提案書を持って、社内の震災復興支援の担当に話をしにいった。

 

そこで提案したことは、「復興支援専門の部署を作る」「ビジネス寄りの支援を行う」「現地にオフィスと担当者を置く」という3点。全く違う部署だった立石さんは、ダメ元で提案しにいったそうだが、ちょうど対応してくれた担当者の方が理解を示してくださった。

 

その人は今、立石さんの上司である。そして現在、結果的には上記あげた項目すべてが実現するまでに至ったという。シンプルかつ、驚くほど当たり前なことかもしれないが、社内で同じビジョンを共有している人と、どのタイミングで出会えるかは、イントレプレナーの命運を分ける意味で、やはり重要なことだ。

 

だが、これは運ではない。立石さんは思い立った時に行動し、自分の熱意をストレートに伝えたからこそ、そこに共感し一緒に行動してくれる上司に出会えた。その行動があったからこその、今の成功があるのだ。

 

使う言葉や基準を、自分の会社にきちんと揃える

 

事業創造プロセスという意味では、他のイントレプレナーにも共有したい実践知をシェアしてくれた。それは、「言語を合わせる」ということ。

 

例えば、NPO団体などがよく使う「エコシステム」といった言葉は、社内では通じないこともしばしばあり、こうしたソーシャルな世界での言葉を、社内で分かるように翻訳するということをかなり意識して社内で話している、という。

 

CSR部への他部署からの評価は「寄付や社会貢献専門」という印象がいまだに強い。そのため、CSR部が行っている事業創造活動については、あまり注目されないことが多い。だからこそ、「事業性が問われた時にきちんと打ち返せるようにすることも大事」と立石さんは続けた。

 

事業計画をちゃんと作り込んで、新規事業の審査畑にいて20年というような方が見ても、きちんと評価に耐えうるだけの事業レベルにすること。「基準を自分の会社にきちんと揃える」ことを、常に強く意識している。

 

イントレプレナーと呼ばれるのには違和感も

 

多くの事業を回し、イントレプレナーとして活躍している立石さんだが、個人的には「イントレプレナー」という言葉には少なからず抵抗があるという。

 

「イントレプレナーという言葉を聞くと、私自信は迷いを感じます。一人で成し遂げられることが少ないのが会社の特徴ですし、個が際立たないのが会社の特徴だと思うので。イントレプレナーと思われる事は、会社におけるパフォーマンスにおいて良い事かどうかは、正直わかりません。

 

やってきたことを振り返ると、分かってくれる上司がいたことは非常に大きかったです。ニーズと真摯に向き合って、価値を生み出すこと。誰もがやっていることかもしれませんが、こうした地道な努力を続けていくことが大事だと思います。」

 

個人では絶対に達成し得ないことを、社内のリソースや可能性を最大限にいかしながら実現できることが、イントレプレナーとして組織で働くことの醍醐味かもしれない。

 

何を、どのタイミングで、どう行うべきか、を学び合う

 

写真提供: 株式会社パソナグループ
写真提供: 株式会社パソナグループ

 

立石さんのストーリーは、個人の想いが、社会課題解決という大きなテーマと会社をどう結びつけ、実現していくのかを体現していた。なかなか「社会課題解決」という言葉は足の長い話と思われがちだが、個人の熱い想いと行動力が時としてその時間を短縮してくれる。

 

また、会社がわかる論理へと思考や言語を変換していくことの重要さ。これらは具体的なノウハウとして参加したイントレプレナーたちが共感したところだった。このようなストーリーのシェアこそ、世の中のイントレプレナーたちが行動を起こすのに、勇気を与えてくれるのではないだろうか。

 

(続く)

 

 


後編は、第1回セッションで同じく登壇した渡辺周さん(日本電気株式会社/GRAグループ)を取り上げます。

 

第2回は5月25日(水)に実施予定。すぐにお申し込みを!

https://hubtokyo-intreleague.doorkeeper.jp/events/44152

 

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