Impact HUB Tokyo

Founders' STORY

vol.2 BASECAMPとは?

2017.07.18
Pocket

“過酷な登山”を支えるベースキャンプ


Impact HUB Tokyoは単なる作業空間としてのコワーキングスペースや、投資家や企業のベンチャーキャピタルをバックにしたインキュベーターと何が違うのでしょうか。ファウンダーはその機能と役割りを「登山のベースキャンプ」と表現します。現状への疑問を持ち、自らが思い描く未来のためにアクションを起こすImpact MAKERは、いわば「山の向こう側に広がる景色を見てみたい」と大きな山に挑む登山家。文字通りの過酷な登山にベースキャンプが欠かせないように、未だ見ぬ頂きを目指すImpact MAKERにもベースキャンプが必要なのです。

Impact MAKERにとってのベースキャンプには、どんな機能が求められるのでしょうか?まずは、彼らのアウトプットが最大限よいものになること。そのために、ワークスペースは質の良い集中と創発が両立できるように工夫されています。また、空間の工夫は彼らの活動的な側面をケアするだけでなく、リラックスできることにも配慮されています。ラウンジやキッチンスペース、カフェスペースなどが、彼らが英気を養い、ふたたび鋭気を取り戻してそれぞれの現場に立ち向かうために、重要な役割を果たしています。

良質なアウトプットを支える有形無形のインプット


そして、常に良質なアウトプットを出し続けるためには、良質なインプットも欠かせません。どれだけ山を登る強い決意があっても、登山計画が未完成であったり、道具やノウハウが不足していれば、登頂どころか途中の道も危うくなってしまうからです。だからこそ、ファウンダーは開設当初よりプログラムを重視し、何よりもまずプログラムをスタートさせました。歳月を経てもなお、日本や海外のスタートアップセオリーのトレンドや起業プロセスの在り方などを研究し、アップデートを繰り返しながら、日本で・東京で、効果的なプログラムとして設計されています。

また、“良質な学び”はコミュニティ内での経験のシェアによってもたらされることも少なくありません。この点は、Impact HUB Tokyoの大きな特徴のひとつと言っていいでしょう。起業直後に必要な支援は、必ずしも資金提供や事業計画へのアドバイスだけではないのです。例えば、起業後のクレジットカード発行問題、経理業務や秘書業務といったバックオフィスのリソース問題、契約書の雛形などなど。Impact MAKERであれば誰もが通ってきたような小さな苦労とその解決策を、経験者がシェアすることで、コミュニティから学ぶことが出来るのです。

実際に、Impact HUB Tokyoでは、大小様々な経験のシェアや、アイディアのシェア、あるいはプロフェッショナルな専門知識のシェアが行われているシーンを、日常的にみることができます。それらはラウンジスペースでの雑談の場合もありますが、多種多様な「イベント」としてシェアされる場合もあります。運営スタッフが主催するものだけでなく、メンバーが自主開催するカジュアルなイベントも。こういった風景こそが、Impact HUB Tokyoの有機的なコミュニティの日常を物語っています。

Impact HUB Tokyoのプログラムに共通するコア・コンセプト


Impact MAKERにとってのベースキャンプとしての役割を果たすために、様々な側面からの有機的なデザインがわかりました。なかでも、ファウンダーが「Impact HUB Tokyoの醍醐味」と語るプログラムについて、詳しくみていきましょう。

Impact HUB Tokyoでは、メンバーになると参加出来る「Laboratory Programmes(ラボラトリー・プログラム)」と、メンバーにならずとも参加出来る、短期集中型の「Accelerators Programmes(アクセラレーター・プログラム)」の2つのカテゴリーで、8種類のプログラムを提供しています※。すべてのプログラムに共通して内包されるコンセプトには、どのようなものがあるのでしょうか?

①チームラーニング

Impact HUB Tokyoのプログラム開発のプロセスにおいても、ステータス・クオへの挑戦がありました。多くの起業支援プログラムは、「先生」からマーケティングや事業計画づくりのノウハウを教わる、伝統的な学校のような古いスタイルが採用されています。正直なところ、最新のTechやクラウドファンディングを駆使してインパクトを生み出そうという世代にとって、こうした知識はあまり役に立ちません。また、著名な起業家を招き、事業への批評やアドバイスを行うプログラムも多々あります。しかしこれもまた、その場の空気によって一時的にやる気になるものの、継続的な効果は期待しづらく、助言内容によってはむやみに起業家を混乱させるだけでした。

そこでファウンダーが注目したのは、「チームによる継続したラーニング」。著名な起業家が上から目線のアドバイスを投げかけるよりも、チームメンバーによる適度なプレッシャーを受けながら、「膝を突き合わせて切磋琢磨する」という地道なプロセスのほうが成果につながると、ファウンダーは確信していました。だからこそ、起業家同士が集まって競争しあうのではなく、協力しあって事業を助け合っていく。そんな関係性を作り、その後の人生の財産になるような関係を生み出します。

②事業のコアの価値をつくる

起業準備中や、起業して間もない時期は、どうしても「お金」や「売れること」が気になってしまいます。そして、目先の利益や資金調達に躍起になり、肝心の「自分の事業が提供出来る価値」を忘れてしまいがち。それでも勢いがあればしばらくは続けられますが、次第に「なぜやっているのか」「なぜこの商品やサービスでなければいけないのか」がブレていき、事業のコアがブレていき、残念ながら失敗する確率は高いのが現実です。だからこそImpact HUB Tokyoは、ぶれないコアを作るためのプログラムを実施し、一見遠回りに見えても、その後ぶれることのない事業をつくり出すプロセスを支援します。

また、Impact MAKERの背中をそっと押すこともImpact HUB Tokyoの役割です。どんなにパワフルなImpact MAKERであっても、創業に際して必ず「恐れ」を抱きます。それを乗り越え、無意識に設定している限界を超えて一歩を踏み出すためには、伴走者が必要なのです。そして、その伴走者は、自身がImpact MAKERである必要があり、Impact HUB Tokyoはその条件を満たすことができます。

③継続は何よりも力なり

プログラムを開始してみると、「チームによる継続」の効果は顕著でした。プログラムの卒業生のなかから「おかわり」と称して自主的にチーム・ラーニングを続けるグループが現れました。それから1年の成長は圧倒的で、チームによるピア・プレッシャーを継続することの有効性を実証していました。

だからこそ、Impact HUB Tokyoは、プログラムの終了後が肝心と考えています。プログラムの期間だけちょっと集中して出来上がった事業計画は、その後何も手をつけずに放置されればそれでおしまい。継続するフォローアップや、進捗の確認が自然に起こるような仕掛け、そして、同窓生の刺激を提供し続けます。これらの仕組みがあるからこそ、プログラムの卒業生の成功率が安定しています。

コワーキングスペースの先へ


Impact HUB Tokyoは「過酷な登山を支えるベースキャンプ」としての役割りを果たすために、アウトプットの価値を高めるための工夫や、有形無形のインプットの充実、休息と再チャージーーー少なくともこれだけの機能がきめ細かくデザインされています。すべては、Impact HUB Tokyo に集う人々のImpactを最大化するために、ソフトとハードの両面から徹底的に考え抜かれたコミュニティと空間デザインがあるのです。

※2017年6月末現在。

(取材・構成:石川孔明)