Impact HUB Tokyo

Hosts' STORY

vol.2 HUBのメンバーシップとホスティングチーム(前編)

2017.08.07
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コミュニティのファシリテーター「ホスティングチーム」


Impact MAKERが集うコワーキングスペース、Impact HUB Tokyo。そこにはコラボレーションが生まれるための様々な仕掛けが散りばめられています。前回記事では、空間設計やファシリティといったハードの面からその工夫を紹介しました。しかしどれほど良い空間を用意して、そこに多様で面白い人たちを集めても、それだけではイノベーションは生まれません。新たなアクションが生まれるには、ハードに加えてソフト、つまり人と人の関係性に働きかけてコミュニティを活性化する仕組みが必要なのです。今回はコミュニティを支える「ホスティングチーム」に注目して、その仕組みを紐解いていきます。

Impact HUB Tokyoの「ホスティングチーム」は、コミュニティのファシリテーターです。その役割は多岐にわたりますが、大きくふたつ。ひとつめは、コワーキングスペースを利用するメンバーが心地よく仕事をするための管理者という役割です。メンバーが余計なことに気を取られず100%仕事に集中するうえで、ホストの存在は重要です。例えば会議室の予約確認からファシリティの使い方、そして機材のトラブルまで、ホストが常駐して対応することで業務をスムーズに進めることができます。

WhatではなくWhyでつながるコミュニティ


ホスティングチームのもうひとつの役割は、積極的にコミュニティを活性化するファシリテーションです。ホストがいなくてもコミュニティは存在しますが、適切に働きかけることによって、より活気にあふれ、アイディアに満ちたコミュニティへと変わっていきます。異文化コミュニケーションのプロフェッショナルであるホストのひとり、岩井美咲はその役割をこう表現します。

「Impact HUB Tokyoのコミュニティにとって、ホストは触媒のようなもの。参加したてのメンバーが場に馴染むサポートをしたり、メンバー間の化学反応を促進したりする役割を担います。日々のコミュニケーションを通してメンバーが抱える困りごとや関心を察し、タイミングよく必要なメンバーとつなげたり、共通した課題を抱えているメンバーがいれば、チーム・ラーニングの機会やイベントを企画したりすることもあります」

こうした取り組みを重ねながら、コミュニティを観察するなかで発見したことは、イノベーションが生まれるには、もうひとつの条件が必要だということでした。それはメンバーを「WHATではなく、WHYでつなぐ」ということです。

「人は新しい関係性を作るとき、何をしているのか、どんな立場の人なのか、といった外面的な事象、つまり”WHAT”に注目します。それでもコラボレーションは生まれるのですが、より深い、イノベーションと呼べるような成果を生み出すには、私はこういう問題意識を持っている、これが好きで仕方がない、という”WHY”でつながることが必要です」

WHATのレベルでも、コラボレーションは生まれます。例えばデザインを強化したい企業は、デザイナーと「何が不足している、何ができる」という情報を共有すれば、凹凸を埋めるように新たな連携が生まれます。それは既に生まれたものが、より大きく深く改善されていく連続的なイノベーションのプロセスであるということができます。

一方、非連続的なクオンタムリープ(量子的飛躍)のプロセスはより複雑で、往々にして直線的には進みません。「私はこのことがどうしても気になる」といったモヤモヤを多くの人たちに投げかけ、対話を重ねるなかで少しずつやるべきことが明確になっていきます。そのプロセスに巻き込まれた人たちは、機能ではなくパッションや共感でつながるため、従来には全く予想もつかなかったコラボレーションや、結果としてのアクションが生まれてくるのです。

ホスティングチームは、こうしたイノベーションが起こるプロセスを理解し、日々のちょっとした会話からメンバーの”WHY”を拾い上げ、一見共通点がなく、そのままでは接点がなかったであろう人たちをつなげています。そのはたらきを岩井は氷山(https://photos.app.goo.gl/4VBShMsMjhyUWbok1)に例えます。「海に浮かぶ氷山の目に見える部分はほんの一部で、そのほとんどは水面下にあって見えません。この水面下をいかに洞察して、そのレベルでメンバーをつなげられるかが、ホストの腕の見せ所です」Impact HUB Tokyoのホストもまた、目に見えない水面下でコミュニティを支えています。

HUBのメンバーシップとホスティングチーム(後編)はこちら

(取材・構成:石川孔明)